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2025/07/19 01:11 |
「順列都市」感想、みたいなもの(その1)
のび太はどうしようもないやつだけど、言葉使いはあんがい乱れてないんだよな(書き言葉はメタメタだけど)。だからパロディで言葉使いをいじるられると、途端にDQN臭のきつい餓鬼になる……

さて、お待ちかね(主にわたしが)の「順列都市」の感想みたいなものを、どうぞ。

人間の記憶や人格をスキャンして完全な『コピー』をコンピュータ上に作り出す技術が浸透した21世紀半ば。肉体を持たぬ『コピー』はプログラムの走るハードウエアを破壊されないかぎり死ぬことは無く、生前の富豪たちは死してなお仮想空間から現実世界を支配していた……

人工生命の研究に没頭するプログラマーのマリアは、ダラムという男から奇妙な依頼を受ける。「人工宇宙に惑星をまるまるひとつ作ってほしい。自立進化する原生生物の種も一緒に」と。しかも、地球上のハードを総動員してもそんな巨大なプログラムを走らせる容量は無いことを承知の上でだという……

それと同時にダラムは、仮想空間に住む富豪の『コピー』たちにもある話を持ちかけていた。曰く、「世界中のハードウエアが破壊されても存在し続ける方法がある」と……

うーん、あらすじ書くだけでこの高揚感、さすがイーガン!とことあるごとに褒めておく。さておき、物語はダラムの云う「ハード無しで存在する方法」が軸になってくるわけです。

彼は元精神病患者で、正気に戻ったあととある実験を思い立ちます。それは簡単に云えば「『コピー』を走らせているコンピュータの設定をいじると『コピー』はどうなる?」といったもの。そしてその結果、彼は正気を疑うようなある仮説と結論に達するのですが……

えっと、クラークの法則によると「充分に発達した科学技術は魔法と見分けが付かない」のですが、「充分に発達した科学仮説」は「狂気と見分けが付かない」って感じです。

ともかく、そのダラムの仮説『塵理論』を発展させると「ハード無しで存在する方法」になるわけです。そこにいたる理論展開というか論理の飛躍がいかにもイーガンらしい突拍子の無さです。そもそもこれってまっとうな論理的帰結なのかやっぱり少々狂ってるのか、莫迦なわたしには分からない……

よくミステリで「論理のアクロバット」という言葉を使いますがね、甘い甘い。やはりミステリ如きでは、というよりSFジャンル以外では表現できないスケールのでかさというものがあってですね、それを『宇宙の壮大さ』とかありがちな物を使わずにたった一つの仮説のみで見せ付けてしまうのがイーガンの凄さかと。

さて、恐ろしいことにまだ書くことがあるので、明日へ、あるいはそれ以降へ続きます。お好きなアイキャッチを思い浮かべてお待ちください……
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2007/08/10 01:09 | Comments(0) | TrackBack() | 日記・感想

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